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評論家とソムリエと

僕は車離れと騒がれるほどの若者ではなく、車は大好物だ。車に限らず乗り物が好物だ。この乗り物が好きという感覚はなんだろう。とくに中に乗り込めるもの、そして自ら操ることができるものという条件を車は満たしてくれるからか。

 

あらゆる分野に評論家がいて、車にも自動車評論家なるものがいる。日本仕様の自動車評論家は、BBCTop Gareのように痛快で歯切れのよいことを言ってくれない。彼らの主な仕事は、リリースされた新車の試乗記事をメディアに書くことのようで、だいたいは提灯記事であるととらえている。

 

そんな自動車評論家のなかであっても、本人は評論家ではなくジャーナリストと称していたかも知れないが、三本和彦さんは別格である。彼の出ていたテレビ番組「新車情報」では、番組名どおり毎回1台の新車に対して、常にぶれない評価軸で良いところ悪いところをはっきり言う、さらにメーカーの担当者にもはっきり言う。そういう姿勢が気持ちよいとても不躾なよい番組であった。

 

そんな三本さんを何年ぶりにかテレビで拝見することがすることができたのが、先日放送された「BS日テレ - おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR,NO LIFE! │ #46 三本和彦」。あまり見たことのなかったこの番組のゲストに出演されていることを番組開始30分後頃にTwitterで知り、帰宅中の電車から番組後半だけでもと自宅レコーダーにリモート予約し、後日見ることができたのだ。番組では新車情報の頃からかなりの時間がたったものの、三本さんの変わらなさに感銘と感動をおぼえた。よいものを見れた。

 

どんなジャンルであっても、リリースされた商品に対してよい点や悪い点を示してくれる専門家の存在は、素人にとってありがたい。車について自動車評論家や自動車ジャーナリストという職種の方々がそういった専門家の役割を担っている。多くの場合、これら専門家はメーカーからの広告費により生かされているため、新製品のアピールポイントをメーカーの言葉をいろいろと言い換えているだけの宣伝記事しか書いていない。提灯記事ばかりである。

 

近頃これら専門家はソムリエと称していることが多くなったように思う。例えば文房具ソムリエとか、スマホのアプリソムリエとか。これらのナントカソムリエたちは、本来のソムリエと同じく客の要望に応えて商品選びを手助けすることを目的としているためか、商品の悪いところを言わない。ニーズにあわせていくつかの選択肢からお勧めの一品を選ぶので、選ばれた一品について悪いところを示す必要がないのだ。

 

つまり、ナントカソムリエと称することで、「評論家と称して評論しない提灯記事ライター野郎め!」といった指摘を受けることなく堂々と提灯記事を書ける。そういう素晴らしいポジションをナントカソムリエは得ているのだろう。ナントカソムリエを発明した人に乾杯、いや完敗である。つまらなく、くだらないことだが。